KT88はパワー管として人気ですが、メーカーによって音のキャラクターが大きく異なります。特にムラード(Mullard)とJJ Electronicsは、価格帯もサウンド傾向も違うため、迷う方が多いのではないでしょうか。本記事では、実際に両者を試した筆者の視点から、音質・価格・用途ごとのおすすめポイントを詳しくご紹介します。
Mullard KT88の音質レビュー
英国伝統の艶やかさと厚み
ムラードKT88は、現在はロシア製(ニューセンサー系)として復刻されていますが、英国伝統のサウンドを継承したクラシカルなキャラクターが魅力です。
- 中低域がとにかく豊か:ベースやチェロが「空気を震わす」ような実在感。
- 高域は柔らかく滑らか:ギラつきがなく、長時間のリスニングにも疲れません。
- 音場が立体的:クラシックやジャズでは奥行きのある表現力が光ります。
特にアナログレコードとの相性が抜群で、音楽に包まれるような心地よさがあります。
JJ KT88の音質レビュー
押し出しの強さと現代的な音作り
スロバキアのJJはコストパフォーマンスの高さが魅力。力強くシャープな音が特徴です。
- 低域の量感が豊富:ロックやポップス、映画鑑賞にぴったりの迫力。
- 高域はやや粗めだが元気:クリアでシャープなため、派手なサウンドが好みの人向き。
- 中域は控えめ:ボーカルのニュアンスは若干平坦になる傾向。
そのため「エネルギッシュな音」「前に出るサウンド」を求める方には理想的です。
音質比較まとめ|どちらがあなた向き?
比較項目 | Mullard KT88 | JJ KT88 |
---|---|---|
音の傾向 | 暖かくクラシカル | シャープで力強い |
中低域の厚み | 深く豊か | 量感はあるが質感はやや粗め |
高域の表現力 | 滑らかで繊細 | クリアだがやや粗い |
音場 | 広く立体的 | 平面的になりやすい |
向いているジャンル | クラシック、ジャズ、アコースティック | ロック、ポップス、映画音楽 |
価格帯(参考) | やや高価(1本 1.5万円〜) | 比較的安価(1本 8,000円〜) |
結論|どちらを選ぶべき?
- ムラードKT88は、「音楽に包まれる感覚を味わいたい」「落ち着いた音を楽しみたい」方におすすめ。
- JJ KT88は、「コスパ重視」「エネルギッシュな音が好み」という方に最適。
アンプとの相性もあるため、「落ち着きたい夜用はムラード、昼のジャズ喫茶気分にはJJ」という使い分けも楽しいですね。
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